2016年5月30日月曜日

卒業

5/20、マディソンスクエアガーデンで執り行われた卒業式を持って、とうとうMBAプログラムを卒業することになりました。MBAへの入学を目指してからちょうど4年、自分が卒業している今の立ち位置に実感を持てない自分がおります。

この2年間、全体的に満足のいくものでした。キャリアスイッチに成功したこと、また今後のキャリアに必要であろうハード、ソフトスキルのベースが積めたこと、それこそ世界中に友達ができたこと、などなど得られたものは大きいです。そのなかである意味最も何度もブログで触れております通り、昔に比べて自分に自信が持てるようになったことだと思っておりますので、今回はこの話に絞って書きたいと思います。

MBA入学前の5年間、化学メーカーでサプライチェーン、営業に携わっておりました。仕事付き合い以外では広い交友関係がございませんでしたので、今以上に当時は世間知らずでした。MBA合格後に出会った様々な業界の同級生に畏怖の念を抱いていたと言っても大げさではありませんでした。インターナショナルな経験についても、これまで仕事では日本以外では出張ベースで中国、東南アジアに行く程度でしたので、決して経験豊富なわけでもございませんでした。

そんな僕もMBAブログラムに入学しますと、強制イベントで様々な業界、業種から来た、多国籍からなる同級生と切磋琢磨するようになりました。ハード、ソフトスキルを一通り学びましたし、授業などを通じてこれまで訪問したことのない地域にも出向くこともできました。そのおかげで、ミスミグループの三枝会長の言葉を借りますと「見たことのある景色」がこれまでとは比べものにならないくらい広がったことを実感します。加えて、以前より「見たことのある景色」が増えたことで、昔に比べると徐々にですが落ち着いて、自信を持って日々を生きることができるようになりました。まだまだ自信を持っていいと友人から言われる僕ですので、現状に満足せず、引き続き精進したいと思います。

今回筆者がMBAプログラムを卒業するため、さらに言うとキリのいい100記事に無事到達したということで、今回の更新をもってブログを終了したいと思います。この2年間、楽しいことばかりではなく、悔しいこと、苦しいこともありましたが、様々な方々の支え、励ましのおかげもあり、無事に卒業の日を迎えることができました。今後は少しでもお返しすることができればと思います。これまでプログをご覧いただいた皆様、内容のない話にお付き合いいただきありがとうございました。

写真ですが、冬場にマンハッタンブリッジからロウア―マンハッタンを撮影したものです。これまで撮ったニューヨークの写真でいちばん気に入っております。

2年分の授業一覧

今回は2年間で取得した授業を俯瞰してみたいと思います。全て並べますと下記の通りです。

1年目夏学期】
Statistics (必修科目・3単位)
Collaboration Conflict & Negotiation (本来は選択科目・1.5単位)
Management Communication (本来は選択科目・1.5単位)

1年目秋学期】
Strategy(選択必修科目・3単位)
Foundation of Finance(選択必修科目・3単位)
Marketing(選択必修科目・3単位)
Financial Accounting & Reporting(必修科目・3単位)

1年目春学期】
Corporate Finance(選択科目・3単位)
Leadership in Organization(選択必修科目・3単位)
Global Strategy(選択科目・3単位)
Strategy with a Social Purpose(選択科目・3単位)
Operation Management OPS in NYC”(選択必修科目・3単位)

2年目秋学期】
Valuation(選択科目・3単位)
Managing Growing Companies(選択科目・3単位)
Foundation of Entrepreneurship(選択科目・3単位)
Brand Strategy(選択科目・3単位)
Global Social Impact Strategy(選択科目・3単位)

2年目春学期】
Managing Change(選択科目・3単位)
Digital Strategy(選択科目・3単位)
Power and Politics(選択科目・3単位)
Modeling Financial Statements(選択科目・3単位)
Professional Responsibility(必修科目・1.5単位)
DBi Morocco(選択科目・1.5単位)

63単位取得(3単位分を無料で取得可能のため)

結果的に2年目の秋学期まで入学時の予定に概ね沿ってManagement系を中心に授業を取ったのですが、最終学期は新たに興味を持った科目を重点的に取得しました。そのため、当校では最大3つまでSpecialization(メジャー)を取れるので、ぜひ3つ取得することを狙っておりましたが、最終学期に路線変更したため結果的にStrategyLeadership in Change Management2つになりました。

級生を見ますと、トリプルメジャーを取った同級生もいれば、メジャーを特に気にせず授業を取り、僕と同じように2つで終わった同級生もおります。メジャーの数をどうするか、という問いへの正解はありません。MBA後にどのようなキャリアを歩みたいのか、そのためにMBAでどのような授業、そしてメジャーを取るのか次第です。僕の場合はあくまで卒業までに取っておくべき授業を優先し、どのメジャーにするかは優先度を下げました。

ちなみに一つ僕が取った授業一覧を特徴づけるとすると、実際に授業で学んだことを実戦で使う、ハンズオン系の授業を1年目の春学期以降、必ず1つ入れていたことが挙げられます。これまでもブログで触れてきたので詳述は避けますが、実際に手を動かすことで学んだものを復習することもできましたし、どのように学んだものを実戦に落とし込むこともできましたし、業界や専攻が異なる同級生と組むことで多面的な視点を学ぶこともできましたので、僕にとっては大変有意義なものでした。

写真はNBA観戦のときのものです。最終的にNFL以外のアメリカ4大スポーツは全て試合観戦できました。

再び春学期の振り返り

これまで毎学期末ごとに学期の反省を記事についてアップしてきましたが、今学期は書くことが少なりつつあり、少々困っておりました。今学期のテーマは卒業後のキャリアに向けて準備すること、ニューヨークを満喫することだったのですが、こちらは既に他の記事で触れてしまっておりました。唯一今学期ならではのことで思いついた点として、ロジカルシンキングについて今学期改めて意識するようになったことです。

言わずもがなですが、例えばコンサルティングプロジェクトに従事する際、大量に情報をインプットする→情報を整理、構造化して根本原因を→打ち手を洗い出す→打ち手の効果を査定する→打ち手の優先順位づけをする、という順番で進めますが、その際にベースとなるロジックがしっかりしていないと元も子もございません。自分のなかでまたまだロジカルシンキングに改善の余地がありましたので、今学期は一つ自分のなかで重点的に気をつけるようにしておりました。

結局のところ今学期だけでどの程度改善できたのかは何とも言えませんが、少なくとも日ごろから考える癖がついたことだけでも小さな成長を得られたと思っております。受験時にGMATを受験することもあり、MBAプログラムでは学生にロジカルシンキングの力があることを前提にしているきらいがあるため、何を今更と思う方もいるかもしれませんが、出身業界、卒業後に行きたい業界によって元々のベースや目標にすべき水準が違うので、僕みたいにこの能力に実は課題を抱えている同級生もいるのではないかと思っております。実際に今学期取っている授業で、最終プレゼンを聞いていますと、少なからずロジックに綻びを抱えているものがございました。

その一方、授業でもロジカルシンキングについて扱うことは少ないと感じます。例えば、選択必修科目のStrategyでもフレームワークについては教わりますが、フレームワークの使い方がロジカルかどうかについてフィードバックを受ける機会は今思うと決して多くなかったと思います。教授からロジック自体に対して指摘を行うケースは僕の場合、あまりありませんでした。グループワークやプレゼンの機会でフィードバックを受ける機会を除くと、コンサルのケース面接ぐらいしか個人的にはこの能力を鍛える場が思いつきません。

話が逸れてしまいましたが、MBAのプログラムでは提供していないこともあるという一例を紹介できればと思い、書いてみました。ロジカルシンキングについては個人で問題意識を持って取り組むものでした。

写真は3月に観戦したNHLの試合です。

結局アメリカとは何か

申し訳ございません。更新が滞っているうちに卒業してしまいました。急いで卒業までにしたためる予定だった記事を複数アップ致します。

以下の内容はアメリカ人の友人とサシ飲みしたときの話と気づきを後日まとめたものですので、話半分で読んでください。

ニューヨークでMBA生活を送っておりますと、ニューヨークはアメリカのなかでも異質な都市であることを、ふとしたときに実感することがあります。(特にマンハッタンのなかで暮らしておりますと)車なしで生活が成り立ちますし、物価、不動産代が高いですし、メディア、金融、ラグジュアリー系のビジネスの中心地ですし、他の都市よりも明らかに人種のダイバーシティ―が広いですし、そもそも公園を除くとコンクリートジャングルですし…、といった具合です。例えばバスでニューアーク空港に向かう途中、トンネルを抜けてニュージャージー州に入るときでさえ、大げさかもしれませんが違う世界に入った感覚に陥ることがあるのです。

そんな話を先日、サシ飲みしたアメリカ人の同級生にぶつけてみました。ニューヨークという特殊な場所に住んでいると、アメリカについて理解できないままなのではないかと聞いてみたのです。

これまでアメリカ各地を転々としてきた彼の答えはこうでした。そもそもアメリカという国は広く、地域によって多様性があるので一緒くたにすることは難しいのと、アメリカ各地域が「自分たちの住む地域こそ典型的なアメリカだ」と考えるメンタリティーがあるので、アメリカっぽいことを定義するのは難しいそうです。アメリカが独立したときの13州だけで考えても、(分け方にもよりますが)ニューヨーク州の地域、ボストン州、周辺各州を含めた地域、ペンシルベニア州(この州も西と東で文化が異なるそうです)の地域、ワシントンDC周辺の地域で分けることができます。細かい話は失念してしまいましたが、各地域の文化、経済的な特徴は大きく異なりますし、構成される人種、各地域が抱えている課題も異なります。彼の話を聞いておりますと、暗にアメリカという国を一括りに考えなくてもいいのではないかと言っている様に聞こえました。

一方で改めて会話を振り返ると気がついたことがあります。僕が日本について聞かれたとき、おそらく同じような回答をするかもしれないということでした。例えば日本に長く暮らしておりますと、東京と大阪の違いはもちろん、東京から新幹線を使えば2時間以内で行ける名古屋、静岡、長野の違いも感覚的にイメージしやすいと思います。一方、Japan Trekで初めてきた同級生の場合、そもそも日本に関するバックグラウンドがないため、僕らが気づくような違いを拾うのはハードルが高かったりするのではないでしょうか。今思うとおそらくそれと同じようなことが僕に起こっていたと思われます。僕も通算7年間のアメリカ在住経験がありますが、ニューヨーク州でしか暮らしたことがありません。他のアメリカ地域についてのバックグラウンドをよく知らないこと、そのためアメリカ人に比べると地域性の違いに気がつきにくいこと、おそらくそのあたりが理由なのではないかと考えます。

以上の話をまとめますと、そもそもアメリカという国は地域によって多様性に富んでおり、一括りしづらい一方で、留学の2年間、同じ地域に住むだけではアメリカ各地の多様性、アメリカについての細かい地域差を理解することも難しそうです。少なくとも留学期間の間だけでは解けない問いだと自分では結論づけました。

心のモヤモヤを解いてくれた同級生には感謝です。写真はメトロポリタン美物館の一角です。

2016年5月5日木曜日

諸国漫遊@ニューヨーク

ニューヨークで興味深い点の一つとして、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクスなど各地に移民街があることです。おそらく世界の大都市のなかで最も様々な国籍に触れられる場所の一つなのではないでしょうか。それぞれの地区に行けば、アメリカとは違う異国情緒な雰囲気に迷い込むことができます。

元々僕の趣味は旅行、食べ歩きでしたので、移民区巡りには興味がありました。そこでMBA2年目の期間を使い、ニューヨークにある主要移民街にあるレストランを食べ歩いてみることにしました。最後は力技になりましたが、本日ようやくターゲットの20カ所を巡ることができました。巡った場所は下記の通りです。

Brooklyn
Bay Ridge - Little Beirut
Brighton Beach - Little Odessa
Flatbush - Little West Indies
Greenpoint - Little Poland

Bronx
Belmont - Little Italy
Woodlawn - Little Ireland

Manhattan
East Harlem - Little Mexico
Greenwich Village - Little Britain
Harlem - Little Senegal
Midtown - Koreatown
Murray Hill - Curry Hill
Downtown - Chinatown
Downtown - Little Italy

Queen
Astoria - Little Athens
Astoria - Little Egypt
Flushing - New Chinatown
Jackson Height - Little India
Jackson Height - Little Latin America
Woodside & Sunnyside - A Little Melting Pot

全てコメントすると長くなりますので、今回は特に気に入った場所を数ヵ所紹介します。

Flatbush - Little West Indies

ブルックリンの果てにあるこの地区は、カリブ海諸国出身の方々が暮らしている地区です。地元のレストランへ行けばジャマイカ名物のジャークチキン、デリへ行けば料理に使う各種スパイスが販売されております。こちらではカリブ海風のシチューを堪能しました。レンズ豆、豚肉をスパイシーなバーベキューソースのようなソースで味付けした、B級グルメ感満載の料理でした。スパイシーな料理が好きな僕好みの味で、大満足でした。

Brighton Beach - Little Odessa

ブルックリンの果て、Coney Islandのビーチの近くにあるこの地区は、ロシア、ウクライナ系移民が昔から多く住む地区です。駅を降りると旧ソ連圏で見られるキリル文字で書かれた看板が目立ち、異国情緒溢れる地区です。歩いて行ける距離にビーチがありますので、ロシア料理を堪能した後は海沿いを散歩することもできます。こちらではビールストロガノフを堪能、久しぶりにロシアの味を思い出すことができました。

Jackson Heights – Little India / Little Latin America
Woodside & Sunnyside - A Little Melting Pot含む)

ニューヨークのなかである意味最もカオスで、異国情緒溢れる場所だと思います。Jackson Heightsだけでなく、WoodsideSunnysideにかけて多国籍地帯が広がっているイメージです。この地区では主にヒスパニック系の人々、加えてインド系などアジア諸国の人々なども暮らしている地区です。こちらではメキシコ料理屋の横にチベット料理屋、インド料理屋が並んでいるカオスな光景が見られます。地下鉄7号線沿いを歩いておりますと、車のカーステレオからラテンの音楽が流れているのが聞こえたりして、思いのほか明るい雰囲気の街でした。こちらではチベット料理のモモ(水餃子のようなもの)、メキシコのモーレ料理(チョコレートソースのかかった料理)などを楽しみました。

これだけの数を巡るのも楽ではなかったのですが、より規模の小さい移民区もカウントする場合、さらに行ける地区が増えると聞きます。もしニューヨークにいながら異国情緒を楽しみたくなりましたら、これらの移民区へ出掛けてみてはいかがでしょうか。写真はGreen PointとJackson Heightsです。