2015年10月31日土曜日

MBA2年目がそこまで暇ではない件

MBA入学前、当時の在校生、卒業生からMBA2年目は楽になるという話を伺っておりました。実際2年目になってみた実感ですが、本人次第でMBA2年目の忙しさのレバーを上げたり下げたりできる、という言い方の方が僕にはしっくりきます。

例えば、夏休みに立ち上げたビジネスを続けている同級生、パートタイムインターンと学生生活を両立させている同級生、転職活動を続けている同級生など、MBA2年目も忙しめな同級生もおります。一方でMBA2年目を一種のモラトリアム期間にしてしまっている同級生もいます。MBAでの目標であるキャリアチェンジをサマーインターンで達成してしまったため、授業やクラブ活動のみ頑張り、週末は全米各地、もしくはヨーロッパに出掛けている友人たちがその一例です。

僕の場合はぼちぼちでしょうか。授業関連の負荷は下がっておりますが、キャリア関連、(負荷は小さいですが)クラブ活動、当校のスタートアップコンペ(200K Entrepreneurship Competition)の選考準備など、授業以外の負荷の比率が上がっております。とはいえ、山場を重ねないよう注意しながらスケジュールを組んでおりますし、睡眠時間はそれなりに確保できておりますし、ランニングやジムも継続しておりますし、何よりこうしてフリータイムを見つけてブログを更新しておりますし、MBA1年目秋学期のときの嵐のような感覚はありません。

ちなみに授業の次に負荷が大きいのがスタートアップコンペの準備です。ビジネスプランの準備そのものだけでなく、必ず参加しなければBoot Camp(ビジネスプランを書くための講習会のようなもの)の負荷が軽くないのです。これまでBoot Campは日曜日の9-16時、合計3回開催されました。ビジネスプラン作成についてはド素人なので学びは大きいのですが、当校の授業に置き換えると1.5単位分(通期の授業の半分)に相当する時間をBoot Campに投資しているわけです。

春学期もパートタイムインターンなどに関わって、最後まで最低限忙しくいられたらと思います。

写真はキャンパスから1kmの距離にあるニューヨーク名物のデリ、Katz's Delicatessenです。名物のパストラミサンドウィッチはチップ含めて$20以上と安くはないですが、肉のボリュームは申し分なく、肉の柔らかさと肉汁を楽しめる逸品です。しかもお店の雰囲気が大衆食堂のようにごちゃごちゃしているのも個人的にはプラスでした。

2015年10月30日金曜日

ハロウィーン

ハロウィーンの季節がやって参りました。1年前はハロウィーン前に包丁で指を切り、病院で指を縫ったため、ハロウィーンどころではありませんでした(笑)。今回、ようやく本意気で楽しむことができそうです。

毎週木曜日夜に開催される飲み会(Beer Blast)についても、昨晩はハロウィーン仕様になっておりました。就活や授業のある学生もいたため、仮装をしている学生の比率は半分以下でしたが、それでも雰囲気は味わえました。僕が20年前にニューヨークに暮らしていた頃、人気の衣装は怪物、お化け、海賊だったイメージがありましたが、こちらではキャラクターの仮装が人気でした。Beer Blastでは戦隊レンジャーや国立公園のレンジャーに扮した友人グループ、別会場でスーパーマリオのメンバーの仮装をしたグループもおりました。そういう意味では今の日本のハロウィーンとあまり変わらないのかもしれません。ただ、同級生のなかには仮装道具を自作(!)したメンバーもおりましたので、こちらの方ではより気合いが入っている(もしくは楽しもうとしている)のかもしれません。
 
明日は友人カップル開催のハロウィーンパーティーに顔を出す予定なので、日本酒を持参して適度に場を盛り上げようと思います。久々の短い記事でした。
 
写真ですが、昨晩いいものが撮れなかったので、せめて紅葉が進んできたセントラルパークを使います(結局微妙な写真しか撮れませんでした)。本日セントラルパークをランニングで一周(10km)してきたのですが、鮮やかな色彩に囲まれたなかでのランニングは格別でした。 

先手必勝

おそらく人によって十人十色かと思いますが、MBA期間中のスケジュール管理(特に授業関連)について僕なりに心掛けていることについて、春学期に書きそびれたので改めてまとめます。特にグループワークの場合、(大げさですが)先手必勝でスケジュール管理の主導権を握り、自分のペースにもっていくことを心掛けております。

少なくともFull Time MBAの同級生に関して言うと、計画的に授業のグループワークやプロジェクトを進めているケースがあまりございませんでした。(場当たり的と言っては言い方が悪いですが)課題提出直前まで作業をせず、直前に課題を複数抱えてヒーヒー言っている同級生を多く見ました。MBA期間中の時間を最大限活用したい僕にとって、場当たり的なやり方が効率的とは思えませんでしたので、全授業にグループワークが絡んでいた春学期にちょっとした実験を行いました。僕が取った全授業のグループワークのスケジュール管理について主導権を握ってみたのです。

まず、学期が始まるまでに履修した授業のレジュメを全てチェックし、どの時期にどの宿題の期限があるかを全て手帳にメモしました。全授業の課題を初めにリストアップしてしまうことで、学期中のどの時期に山場を迎えるか、スケジュールの全体感が掴めます。そしてここからが重要ですが、授業の課題の山場が重なりそうな場合、より話のわかるグループに対して状況を説明し、早めに課題を終わらせてしまうよう、かなり早いうちから根回しを始めることにしたのです。特に同級生の80%以上が履修しているCorporate Financeで重たい授業課題がある5月上旬は山場が重なるのが見えておりましたので、同時期に課題のある他の2つの授業のグループに対して状況を説明し、作業時期を前倒しできないか根回しを行いました。その結果、本来5月初旬が提出期限のグループプロジェクト3つのうち、1つを4月半ば、1つを4月中に提出させることができました。結局のところ5月初旬は少し苦しみましたが、それでも山場が重なるよりはだいぶ楽だったと思います。

調整がうまくいった理由として、課題が事前に終わらせられる内容であったこと、加えて事前にグループ内でスケジュール管理役として認められたことが効いたと思います。学期中も小さな課題の期限について同級生にリマインダーを送るなど、普段からスケジュール管理を自分で主導することを意識していたこともあり、僕の提案に信頼をもってくれたのだと思います。また、かつて生産計画を仕事にしていた僕にとってスケジュール管理(納期を守ること)は職業病みたいな部分もありました。

このようなスケジュール管理のやり方は決して多数派ではない気はしております。こんなやり方もあるという一例だと思っていただければと思います。

2015年10月26日月曜日

価値観

受験生の頃、MBAに行ってよかったことの一つとして、価値観が広がったという点を挙げた先輩方がいらっしゃいました。実際に2年目の秋学期に差し掛かっておりますが、たしかにMBAに行く前に比べてはるかに範囲が広がった(伸ばされた)実感があります。(アメリカ中心の学校とはいえ)多様なバックグラウンドを持つ、世界各国から集まる同級生、授業を含めたMBAプログラム、先日ご紹介した講演会など、様々な場面で日本に留まれたら得られない刺激を受けることができました。

学生クラブ主催のイベントでもそのような刺激を受けることができます。当校の主要クラブは毎年、Club主催のConferenceを開催し、卒業生などの大物ゲストをスピーカーとして迎えておりますし、それこそ単体でも色々と面白いイベントが日々開催されております。

僕が先週参加した学生クラブ主催のイベントを例に挙げると、Activist Investorsがヒーローなのか悪なのについて看板教授のDamodaran教授とMurphy教授が議論したイベント、キューバ概論(Intorduction)についてBrennan教授が講演したイベント、アフリカ開発銀行の特使がアフリカでの女性の社会進出の現状と課題について講演したイベントなどが開催されました。僕の場合、少しでもピンときたイベントにはなるべく時間をつくって顔を出すようにしているのですが、特になんとなく参加した最後のイベントでは、アジアよりアフリカの方が女性の社会進出が進んでいる現状を知ることができました。

このようなイベントに参加する価値はざっくり2点あると思っております。一つ目は純粋に知識の引き出しの数を増やすこと、二つ目は特にピンときたことを追って深堀りする、いいきっかけになることです。引き出しを増やすことで得られる横の広がり、新たな引き出しをきっかけに深まる縦の広がり、これらを通じて受け入れられる物事の幅が広がり、人間的に成熟することに繋がると思います。

何でこのようなことを書いているかというと、価値観が広がるような機会をもらってばかりで満足しているのではなく、少しでも返すことを意識しなければならないなと、ふと思ったからです。そういう意味では春休みに開催したJapan Trekでは間違いなく同級生に取って価値観の広がるEye Openingな体験を提供できたと思っておりますが、卒業まで時間があるので、価値観の広がる、そんな切り口でイベントを開催するのもありだと考えております。

写真は黄昏の国連本部前です。

2015年10月25日日曜日

最終学期の授業を選ぶ

全く実感が湧きませんが、いよいよ最終学期の授業を選択する時期がやって参りました。去年の今頃はまだ1年目の秋学期だったことを考えると、本当にあっという間にここまで来てしまいました。今回は最後の学期ということで非常に悩ましいです。10月後半から登録期間が始まったのですが、既に何度も内容を修正しております。

今回は最終学期の授業を選ぶ際の自分なりの基準を備忘録で残します。ちなみに僕は既に48単位を取っておりますが、当校では3単位を追加料金なしで取ることができますので、最終学期も15単位(1授業=3単位)を取る予定です。

MBA後のキャリアに関連のある分野

授業を選ぶ際の基準として、おそらく同級生が最も重視する点だと思います。当たり前の話ですが、そもそもほとんどの学生に取ってMBA=就職予備校という側面があるので、授業を通じて卒業のキャリアに備えようとします。僕の場合、過去Corporate FinanceValuationBrand Strategyなどの授業をこの基準で選びましたが、最終学期は大企業に戻ることを加味し、組織の政治面に特化した授業、変革する環境の中でのどのように組織をマネージメントするかについてフォーカスした授業を取るつもりです。特に政治についてはこれまで苦手意識があり、あまり関心もなかったのですが、MBAに来てからそんな姿勢ではダメだと思い直しております。

MBA期間中に興味の出た分野

MBA後のキャリアと直接関連するかはさておき、興味のある分野の授業を選ぶ同級生も多いと思います。MBAのプログラム、授業、多様なキャリアを歩んできた同級生に刺激されて、これまで興味なかった分野に興味が出るというよくあるパターンです。自分の場合はEntrepreneurshipStrategyがこれに該当しますが、最終学期もビジネスプランのデザインに特化した授業を一つ取り、ビジネスプランを作る練習を重ねたいと思います。

MBA期間中だからこそ手を出せる分野

厳密に言うとMBA期間中だからこそ学べるものは特にないかもしれませんが、今後のキャリアに直接的には関連しなそうな分野など、今だからこそ手を出しやすい分野はございます。例えば、せっかくニューヨークの学校に来ているので、エンターテインメント系やメディア系の授業も取る、というのも該当すると思います。僕の場合、MBA受験時に興味のあったSocial Impact系の授業については最終学期も何か一つ取りたいと考えております。ニューヨークの立地に関連し、学校として力の入れている分野の一つである都市問題系の授業は面白そうです。

・その他

当校では2年目にProfessional Responsibilityという1.5単位の倫理系の授業を必修で取らなければならないのでで、もう一つ1.5単位の授業をセットで取ることができます。この1.5単位を何に割り振るか悩んでおりますが、春休み期間中に開催されるDBiDoing Business in)プログラムに参加し、同級生とこれまで縁のなかった国を訪ね、ビジネスを学び、価値観を広げるのもいいかもしれません。ほとんどのMBA1年生はこの時期、クラブ主催のTrekJapan Trekなど)に参加するため、春学期のDBiMBA2年生が主に参加します。そのため同級生とキャッチアップする機会にもなります。

ちなみに当校ではオンラインで教授の評価をチェックすることができますが(CFE)、年によって評価が上下するという噂を聞いておりますので個人的にはあまり参考にしておりません。それよりも口コミやシラバスの内容をチェックします。ちなみに同級生の場合、看板教授の授業だから、皆が取っているからという理由で授業を選ぶケースもありますが、僕の場合は既に秋学期までに看板教授の授業をある程度取ってしまったので、今回は基準としてリストアップしませんでした。

写真はCentral Parkでランニングしたときのものです。NYでも紅葉が始まっており、今週末以降に見頃を迎えそうです。

2015年10月22日木曜日

2年目の英語力

先輩方のMBAブログを読んでおりますと、実際に英語力がどの程度伸びたのか、ということに触れた記事をよく目にします。まだ卒業まで半年以上ありますが、英語関連でちょっとしたことがあったので備忘録を残します。

僕は6月から2か月間、日本に帰国しておりましたので、秋学期の最初のうちは英語から離れていたブランクに悩むのではないかと覚悟しておりました。ところが、秋学期の始まった9月以降、飲み会で同級生と再会(catch up)した際、「英会話の腕が上がったんじゃないの?」と言われることが結構ありました(手前味噌ですみません)。予想していなかったコメントをもらったことはもちろん嬉しかったのですが、同時に「これはどういうことだろう?」と凄く気になりました。

1年前と現在の英語を比べると、明らかに変わったのは英語を話すスピードを意図的に落としていることでした。話すスピードを落とした理由は2点あります。春学期にも投稿しましたが、僕の英語にはFiller(「Um」「Ah」「I mean」「You know」)が凄く多かったので、Fillerを少しでも減らすべく、春学期の終盤から話すスピードを落としておりました。それに加え、6月から2ヶ月間英語を話していなかったブランクがございました。そのため、特に秋学期の最初の方は開き直ってゆっくりマイペースに話しておりました。どうもこれがいい方向に作用しているようです。

もちろん英語中心の生活をしていたので、単純に会話がうまくなったこと、言葉も出るようになってきたこともあるのでしょうが、英語を話すペースが一定になったこと、加えてリズム感がよくなったこと、これが英会話の腕が上がったというコメントにつながったのではないでしょうか。今思うと入学していた頃は、無謀にもNativeに追いつけ追い越せとばかりに、かなり早口で話しておりましたが、元々言葉に詰まりやすいタイプのため、言葉に詰まるとFillerが出たり、間ができたりしておりました。おそらく話すペースが乱高下していたように思えます。加えてペースが一定ではなかったので、話すリズム感も決してよくなかったと思います。自分が聞く側になるとよくわかるのですが、Fillerが多くてペースやリズム感が一定ではない英語は聞き取りにくいです。今思うと聞く側の立場に立っていない英語でした。
 
あくまで個人的な意見ですが、別に早口の英語を話せなくてもアメリカ社会では問題ない気は致します。NBCのキャスター、Brian Williamsもゆっくりとした聞き取りやすい英語で何年もメインキャスターを張っておりました。1年間のMBA生活で、今更Nativeの英語を完全には再現できない(というかする必要もない)ことがよくわかりましたので、これからも全力投球ではなくコントロール重視で会話をすることを意識し続けます。思わず言葉に詰まりそうになったとしても、ゆとりがある分だけ対応しやすいのもポイントだと思います。
 
写真は先月開催されたLaba Partyでして、バーに繰り出すパーティー系のイベントとしては最も盛り上がるイベントの一つです。顔がはっきり映らないようにあえてボケた写真を採用しております。

2015年10月8日木曜日

著名人の講演会祭り

当校がニューヨークにキャンパスのあることのメリットとして、特にファイナンス系、ラグジュアリーブランド系、メディア系のビジネスの中心地へのアクセスが抜群なこと(夜間授業の教授も現役で働いている方であることもあります)のほかに、著名人が学校に立ち寄りやすいことがあります。これまで後者に関する記事がなかったので共有します。

どういうわけかこの2週間、学内で著名人の講演会が集中する期間でした。今週の月曜日に開催されたTimothy Geithner前アメリカ財務長官の講演会に出席できなかったのは残念でしたが、次の著名人の講演会に出席することができました。

Daniel Schwartz現Restaurant Brands International (旧バーガーキング) CEO
Gordon Brown前イギリス首相
James P. GormanMorgan Stanley CEO

かつて一国を代表していた人物、現在大きな組織を率いる人物がどのような人となりなのか、興味を持っておりましました。さすがに大きな組織を率いた経験があるだけに絶対的な自信を持っておられた一方で、親しみやすさと言うか、懐が深く人間味に溢れておりました。気取らずありのままの自分で聴衆一人一人と対話をするかのように語り掛けていたのが印象的でした。百戦錬磨の経験がなせるものなのかはわかりませんが、自分も身に付けたいものです。

もう一つ印象的だったのは、リーダーシップに魔法とか近道がないことを改めて感じたことです。Morgan Stanley CEOが語られたリーダーシップに関する話が、いい意味で聞いたことのある当たり前の話でした。

・重要な決定事項を行う際は、一人で決めずになるべく色々な人に意見やアドバイスを聞くようにしてきた。
・リーマンショック後に外部からCEOとして迎え入れられたとき、自分は投資銀行業務については門外漢だったので、正しい人物に正しい質問をすることを心掛けた。

この話を聞いたとき、おそらく今後様々な著名人方にリーダーシップについてお話を伺ったとしても、似たような話を聞いて終わりそうな気がしました。

これまでリーダーシップということをMBA生活の肝の一つにしてきましたが、MBA生活を一年間経験した結果、実地経験に勝るものはないと考えるようになりました。もちろんMBAの授業やリーダーシッププログラム、著名人の講演会の機会などで時折一歩引いた目線で俯瞰することも大切ですが、話を聞いていたりするだけでは自分の身にならないですし、実際この1年でいちばん自分の身になったのは、Japan Trekやコンサルティングプロジェクトなどで実際に試行錯誤して学んだことです。

とはいえ、このような気づきができたのもこちらでMBA生活をしているからこそです。残り8ヶ月、少しでも得るものを得て終わりたいと思います。


2015年10月7日水曜日

取材活動

前回書きましたアントレのコンペに関するお話です。ビジネスプランを具体化する際、市場にどのようなニーズ(unmet needs)があるのか、ビジネスプランがどのようにニーズに応えるのか、どのようなりソースを必要とするのかなど、まずはある程度骨子をまとめるようですが、次の段階で作成したビジネスプランが現実的なのか、市場の規模が十分なのかなどについて確かめる必要があります。ビジネスプランの授業ではビジネスプランをまとめる際、ターゲット層に取材すること(ある程度の数が必要)を強く推奨しております。そこで急遽、僕らも取材活動をすることになりました。

2週間で30件もの声を集めたのですが、MBA前に営業を経験していた僕はその大半を引き受けることになり、9月の後半、時間を見つけてはターゲットのお店を訪問して話を聞いておりました。取材した結果、マーケットサイズが十分でない結論になり、別のビジネスプランで攻めることになったのは残念でしたが、取材活動そのものはなかなか面白い経験でした。

今回僕が主に取材した先はカフェ、レストラン、ワイン専門店だったのですが、勤務をされている方々のお時間をいただくので、話せても数分しか時間が取れませんでした。そのため、限られた時間でつかみを取り、最低限抑えなければならないポイントを聞く必要があります(感覚としては時間の取れないMRの営業活動に近いかもしれません)。これまで経験してきたB to Bの営業とは違い、応接室には通されませんし、雑談して徐々に核心にせまるやり方は通じません。しかも使う言語も英語です。特に最初のうちは簡潔に話せず、余計な内容に時間を費やしてしまっておりました。

試行錯誤した結果、明るく挨拶すること、最初にお店のコンセプトやデザインについて質問してきっかけをつかむこと、以上2点だけは注意するよう心がけました。1年間海外に住んでみて改めてよくわかったのですが、挨拶が大事なのは世界共通です。むしろ日本以上に気をつける必要があるのではないかと思うことさえあります。特に今回のような短時間の取材では最初の導入部分でコケるわけにはいかないので気をつけました。最初にお店の質問をすることの狙いとしては、相手に自分が興味を持っていることを知ってもらうこと、相手の心のガードを下げること(いきなり本題のビジネストークをすると往々にして身構えられます)、自然とトークの展開に持っていることなどです。特に熱心な店員さんの場合、自分のお店のことを聞かれて喜ばないわけがありません。冗長に話す癖と最後まで悪戦苦闘しましたが、最初の導入部分は注意を払っておりましたので、最低限の話だけは聞くことができました。少しだけこちらで営業のような経験ができたのは素直によかったです。

もう一つ申し上げると、今回の経験でアントレの難しさも幾ばくか感じました。そもそも授業でアントレの成功率がざっくり2割程度ということ、うまくいった事業でさえ途中で軌道修正するケースが非常に多いことを聞いていたのですが、たしかに一筋縄ではいかないようです。

ちなみに今回の営業活動の副産物と言いましょうか、学校周辺のカフェにやたら詳しくなりました。今回はほぼホームグラウンドのダウンタウンに絞って営業活動をしましたが、お馴染みのスターバックス、Pret A Manageのほかにも 小規模のチェーン店や個人経営のカフェが点在しておりました。おそらく学校周辺数キロ圏内だけでも3桁ほどのお店があるようでして、しかもお店の雰囲気もバラエティーに富んでおります。余計な装飾を店内に施さず、シャープに店内をまとめるお店もあれば、絵画を飾ってアート感を全面に押し出すお店もあり、本当に様々です。デザインのコンセプトに関しても、デザイナー会社を雇ってきちんとしたブランディングのコンセプトを元にデザインされたお店もあれば、単にオーナーの趣味でデザインされたお店もありました。お店ごとに様々な個性があることを感じながら営業活動を楽しむことができましたし、カフェを見る視点が少し変わりました。

なお今回初めて知ったのですが、ダーティーチャイというチャイとエスプレッソを混ぜ合わせた飲み物がこの世に存在します。せっかくなので試してみたところ、微妙な味でした。本場インドの街角の屋台で飲む熱々のチャイが世界でいちばんおいしい飲み物だと思っている僕にとっては、エスプレッソの苦味がチャイの旨味を殺してしまったと感じます(そもそもこちらのチャイティーラテもクリームとシナモンが強すぎるのでそこまで好きではありません)。

とはいえ、今回の取材でニューヨークには素敵なカフェがあちこちにあることがよくわかりました。こちらへいらっしゃることがあれば、ぜひカフェ巡りもご検討ください。