2016年4月30日土曜日

同級生が受講している春学期授業(2nd Spring)

同級生の協力により成立している当シリーズも、今回でラストを迎えました。僕個人が2年間で取った授業も含めると、おかげ様で主要な授業はおおよそカバーすることができました。同級生には感謝し切れません。

・Private Equity Finance(選択科目・3単位)

PEについて学びたい場合、当校ではこの授業を受講することになります。PEの概念的な話から始まり、Due DiligenceLBOのモデリング、ポートフォリオ、Exiting、どのように利益を分配すべきかなど、関連テーマを網羅します。課題やグループワークの負荷はかなり重く、毎週かなりの準備が必要とのことですが、一方で実戦的な内容で学ぶことが多く、満足度は高いそうです。同級生に言わせると、個人的にはベストの授業とのことでした。

Restructuring Firms and Industries(選択科目・3単位)

Law Schoolと共催されている当校の人気授業の一つです。株価という指標を使いながら、資本構造、金融取引に関する諸テーマについて学びます。テーマは多岐に渡り、M&A、ターンアラウンド、PE、会社の組織構造、LaborTake Over、スピンオフ、Activism、ファミリービジネスなど実に様々です。授業は最新のResearch Reportを使いながら、講義ベースで進められます。中間テスト(任意)と期末テストで基本評価されます。ちなみに学生の比率ですが、MBA生とLaw Schoolの学生がそれぞれ半々とのことでした。

・Trading in Cash and Derivative Securities(選択科目・3単位)

2名の教授が担当する、トレーディングについて学ぶ授業です。前半は学者肌の教授が担当し、Market Efficiency、Arbitrage、Technical Trading、Volatilityなどについて講義とゲストスピーカーによる講演で学んでいきます。一方、後半ではQuantsの部隊を経験している教授が担当し、実務的な内容にシフトします。ある与えられた条件の場合、いくら投資するか、リスクをどう管理するか、どう投資額をファイナンスするかなどについて、ケーススタディーをベースに学びます。宿題では与えられた条件を元に仮想トレーディングを行い、運用結果がよいかどうかで評価されます。

Advanced Strategy: Tools(選択科目・3単位)

グループワーク中心の戦略系の授業です。各グループはそれぞれある業界内でROICの高い会社をピックアップし、その会社が競合他社に比べてROICが高い理由についてファイナルプロジェクトでまとめます。流れとして、①どうしてROICが高いのか仮説を立てる、②バックグラウンドデータを集めて検証する、③先生と面接して進捗を確認する、というサイクルを何度か繰り返しながらプロジェクトを仕上げていきます。そのため、コンサルティングプロジェクトの内容にかなり近い印象を受けました。ちなみにこの授業、おそらく教授のキャラによるものだと思われますが、特にアメリカ人の同級生の受講率が高い人気の授業です。

Family Business Management(選択科目・3単位)

ファミリービジネスについて網羅的に学べるコースで、システムダイナミクス、ファイナンス、ガバナンスなど内容は多岐に渡ります。毎週ケース課題が出され、それを元にしたディスカッションを行いますが、この授業の特徴はそのあとにケースに登場している実際の人物のインタビューや講話がビデオで見られることです。そうしてケースにしっかり浸かった後に関連のセオリーが説明され、クラスが締めくくられます。フォーマットとして最も素晴らしく、学んだ手ごたえを感じさせられるクラスです、とのコメントをもらいました。

Corporate Governance(選択科目・3単位)

Law Schoolとの共催の授業で、授業名の通り、コーポレートガバナンスについて網羅する授業です。会社は誰のためにあるのか、というテーマから始まり、会社の取締役会の構造、DiversityCulture、対投資家、CSRなどの話について学んでいきます。内容的には2年目の必修科目であるProfessional Responsibilityとも一部オーバーラップしている印象です。学びは多い一方で授業の負荷は重く、毎週200ページ前後、リーディングとケースを読み込む必要があるので要注意です。最後はチーム、個人でプレゼンテーションを行い、評価されます。ちなみに同級生にとって印象的だったのは、教授がアメリカ以外の地域の最新事情についても明るく、授業中随時紹介していたことだったそうです。

The Strategist(選択科目・3単位)

Strategyのゲーム理論的な側面を学ぶために同級生が取りました。他人がいること、物事には常に2面性があることを前提に、Strategistとしてどのようなことを考え、行動すべきかについて学ぶそうですが、本人が学びたかったゲーム理論についてはあまり触れられなかったそうです。また、概念的なことが多かったそうですので、ケースを用いてガンガンディスカッションしたい人向けではなさそうでした。

Retail Strategy(選択科目・3単位)

リテール業界関連の戦略系の授業です。元コンサルテントの教授が展開する授業です。各授業の前半はケースディスカッションに充てられ、GAPMacy’sUNIQLOなどの会社の事例を議論することができます。後半の時間帯はゲストスピーカーのプレゼンテーションに充てられ、業界の最新事情を知ることができます。もちろんプレゼン後にスピーカーとconnectすることもできますので、特に卒業後にリテール業界に進みたい人にとってはおすすめできるそうです。夜間に開催される授業で、今まさにリテール業界に働いている同級生ともconnectできるのも大きな利点だそうです。

Pricing(選択科目・3単位)

MarketingEconomicsData AnalysisPsychologyの側面から、どのように価格を決定すべきかについて学ぶ授業です。授業中のexerciseなどでベースとなるFormula(モデル)を学ぶので、ハンズオン系の授業で実戦的であるとのコメントをいただきました。ちなみに今学期は日本人の教授が担当、ゆっくりとした語り口調と人柄で学生から好評な教授とのことでした。

Urban System(選択科目・3単位)

グループプロジェクトを通じて都市に関わる諸テーマを学ぶ授業です。授業の流れは、最近起こったニュースの話→リーディング→グループプロジェクトの順で、最後に毎週グループプロジェクトの進捗を報告し合います。リーディングでは世界の都市開発に関するケースを扱い、成功例、失敗例の両方を学びます。同級生はニューヨークのある地区の都市開発についてグループプロジェクトで調べることになったのですが、ニューヨークに関するデータは手に入りやすいため、プロジェクトの調査ははかどったそうです。同級生曰く、都市問題について何らかの問題意識がある、もしくは主体的に学びたいテーマがある方々への受講をおすすめするそうです。

Sports Economics(選択科目・3単位)

スポーツという分野に関する経済的側面を学ぶ授業で、ミクロ経済学の教授が担当しております。アメリカの主要スポーツとヨーロッパサッカーのビジネスを通じて、Management SystemLabor Marketなどの諸テーマを学び、グループプレゼンテーションと試験で評価されます。同級生がこの授業を取った理由としては、スポーツは経済の規模こそ小さいものの、人の心を掴むビジネスのなかで最たるものなので興味があったそうです。

Data Mining for Business Analytics(選択科目・3単位)

Predicting Modelingについて学べる授業です。生のデータからソフトウェアを使いながら必要なデータを抽出し、Modelingを行っていきます。毎週宿題が課されますが、教科書の内容をしっかりと理解しないと解けないため、宿題の事前準備、宿題の準備の両方で負荷が大きい授業とのことでした。一方ではグループプロジェクトもございます。MBAの同級生はあまりおらず、むしろデータサイエンスを扱っている他のプログラムの学生などが受講していたそうです。

Decision Making Under Uncertainty(選択科目・3単位)

一言で言うとOptimizationについてハンズオンで学ぶブートキャンプ的な授業です。最適化する対象はサプライチェーン、ポートフォリオなど様々です。最適化の数値はモデルに計算式に入れればはじき出せるらしいのですが、適切な計算式を入力しないと正しいデータを得られないそうで、状況に応じてどのような計算式を入力すべきかを学んでいきます。

Supply Chain Management(選択科目・3単位)

サプライチェーンについての概論を学ぶ授業です。サプライチェーン大好きな教授が展開する授業で、ケースディスカッションをベースにして(ZARAのケースなど)調達最適化について学んだり、Inventory Controlのシミュレーションに取り組んだり、サプライチェーンを構築するにあたり関税がどのように影響しているのか話を聞いたりしたそうです。あくまで概論について学ぶため、僕みたいに前職でサプライチェーンを扱っていた人間にとっては不要かもしれないとのコメントをもらいました。

写真については全く関係のない、グッゲンハイム美術館を載せてみました。

駆け込みでニューヨークを満喫している件

卒業まであと1ヶ月を切ってしまいましたが、おかげ様で元気にやっております。今週と来週のファイナル期間を終えると、同級生との最後の時間を楽しむ期間、Disorientationに入ります。僕はMBA卒業後に日本へ帰国しますので、帰国前に会いたい友人と積極的にランチ、ディナーに出掛けております。

本題に入ります。言うまでもないですが、ニューヨークでMBA生活を送るメリットとして、ニューヨークの観光、エンターテインメントを楽しもうと思えばこれでもかと味わえる点です。自由の女神やエンパイアステートビルディング、ブルックリンブリッジなどの建築物巡りのほか、ブロードウェイ、美術館巡り、スポーツ観戦、レストラン巡り…挙げればキリがありません。

昨年までは、セントラルパーク、ハドソン川沿い、イースト川沿い、ブルックリンブリッジなどの名所をランニングしながら巡ることができましたが、それ以外の観光名所巡りについてはそこまで力を入れていませんでした。せいぜいMBAのオリエンテーションや授業で自由の女神周辺へのボートツアー、オペラ巡り観覧に参加したのと、The Daily Showの収録観覧、NY Openでのテニス観戦、ヤンキーススタジアムでの野球観戦、Brooklyn Breweryビール工場巡り、Smorgasburgの屋台飯巡りをしたぐらいでした。ようやく今学期になってから駆け足で、NBANHLの試合観戦、MOMA、グッゲンハイム、メトロポリタンなどの美術館巡り、食べ歩きなど、ニューヨーク巡りに注力するようになりました。フェイスブックで今更になってニューヨーク各地の写真をアップしているのは、そんな事情からなのです。

今後ニューヨークへ留学、駐在される方々に教訓としてお伝えしたいのは、ぜひ積極的、もしくは計画的にニューヨーク巡りを楽しんでほしいということです。行こうと思えばいつでも行ける距離に観光名所があるため、僕はついつい先延ばしにしてしまいましたが、そもそもニューヨークはネタが豊富なのでそう簡単にネタ切れしません。後から回ると大変なので、行けるときにどんどん観光していいと思います。今思うと、特に最初の学期、ニューヨークに引っ越してきたばかりの同級生と惜しまずにガンガン観光すべきでした。

ちなみに食べ歩きについては、別記事で詳しく書きたいと思います。

2016年4月19日火曜日

春学期授業(2nd Spring)

遅くなりましたが、今学期の授業をまとめてみました。最後の紹介記事だと思うと感慨深いです。

Managing Change(選択科目・3単位)

企業変革(Change Management)に関する授業です。仮に企業が事業を方向転換しなければいかない場合、どのような戦略に変えるのが望ましいのか、また組織を変革に導きexecuteするためにはどのようなことを戦略に組み込まないといけないのかを学びます。授業は講義中心でケースディスカッションは少なめですので、ケースをゴリゴリやるのが好きな方にはお薦めできないかもしれません。最後にグループごとにアサインされた会社の戦略案についてファイナルプロジェクトでまとめます。負荷は重めです。今回のファイナルプロジェクトでIoTInternet of Things)に関わる各業界のメインプレーヤーが取り上げられますので、他グループの話を聞くことでIoTの動向についての理解が深まりそうです。

Digital Strategy(選択科目・3単位)

端的も言うとITリテラシーを上げるための授業です。Digital時代に入りビジネスがどのように変化してきているか、現在どのような新しいテクノロジーが世に出ている、もしくは出ようとしているのか、またGoogleなど業界のトップを走っている会社がどのように収益を上げているのか、などについて学びます。事前予習の分量はこれまで取った授業のトップで、毎週50100ページ以上の読み物(記事と教科書)が課せられます。僕はまさにITリテラシーを上げるためにこの授業を取ったので、読み物の内容は勉強になりましたが、一方で授業は事前課題の読み物の内容を説明する講義形式がメイン、あまり授業での収穫はありませんでした。HBSケースも1つ読んだだけで終わりそうですので、ケースディスカッションの比率を上げてほしいのが個人的な希望です。最後はグループで新しい技術、ビジネスをプレゼンして締めます。他グループの発表を聴くことで、ITリテラシーはたしかに上がりそうです。

Power & Politics(選択科目・3単位)

今学期のベスト授業でした。組織内の「政治」という力にフォーカスを置き、どのような力があるのか、またその力がどのように周囲に影響を及ぼしうるのかについて学ぶソフトスキル系の授業です。ハイテンションなインド人の教授が担当、ケースディスカッションとロールプレイングを中心に授業が展開され、中間と期末のTake Home Examで締められます。この授業を取ろうと思ったのは、前職でPoliticについて一切気にせず仕事をした結果、(自業自得ですが)色々と余計な苦労をしてしまった苦い経験があったからです。実際にコンセプトを学びますと、過去の様々な失敗について違う立ち回り方ができたことを発見することがかなりありました。自分の胸に突き刺さることが多かった分、MBA後のキャリアでも学んだことが残りそうな気がします。ちなみに失敗が多かった分、過去の失敗談を披露することでvalue(?)を提供する機会に恵まれたのは意外でした。

Modeling Financial Statements(選択科目・3単位)

前の学期に同級生が寄せたコメントをご覧ください。

Professional Responsibility(必修科目・1.5単位)

2年目に取らなければならない唯一の必修科目です。ざっくりな説明ですが、学生が今後キャリアで足を踏みまずさないために、どのようなタイプの違法行為、倫理的にアウトな行為があるのか、どのような形で過去足を踏みまずしたのかを学びます。倫理、法律に加え、心理学的な側面もタッチします。教授は過去何度もTEDで講演している有名人で、話し方、教え方の非常にうまい方でした。

DBi Morocco(選択科目・1.5単位)

以前記事を書きましたのでご覧ください。

今学期は講義系の授業の割合が多かったですが、僕個人としてはケースでゴリゴリやる授業の方が好きだと再実感しました。瞬間的に考えさせられることが多いのが理由です。とはいえ今学期はMBA卒業後を考えて学ぶべきテーマを優先して取りましたので、やむを得ない部分はありました。

また別記事で2年間に取った授業を俯瞰してみたいと思います。写真は2月にランニングで渡ったQueensboro Bridgeです。