2015年12月17日木曜日

同級生が受講している秋学期授業(2nd Fall)

同級生の皆様のおかげで成立している恒例企画です。今回も当校がファイナンスだけでなく、他の分野でも魅力的な授業が多いことを実感いただければ嬉しいです。実際に取材をしている僕も勉強になりました。

Modeling Financial Statements(選択科目・3単位)

企業の財務分析や業績予測を行うための財務モデルを組み立てることを目的としたコースです。当校のアカウンティング分野での看板教授、Dan Godeが担当しており、与えられた売上や原価、設備投資、・配当等のデータが結果的にどのような財務諸表の数値につながっていくかを算出するためのモデルを組み立てます。会計知識が必須ですが、企業のビジネス上のインプットを会計上の数値に変えていくことができるようになりますので、なかなか興味深いそうです。宿題が多いことでも有名でして、毎週10個程度のモデリング作業が必要ですが、力がつくことに疑いの余地はないとのことです。試験では150行にも及ぶ実務でも見そうな財務モデルの構築が求められ、最後はアサインされた企業の業績予測を行うという極めて実践的なグループプロジェクトで締めくくられます。非常に満足度の高いコースとのコメントをもらいましたので、僕もアカウンティングが決して得意ではないため最後の学期に取る予定です。

Bankruptcy and Reorganization(選択科目・1.5単位)

Zスコアを考案した当校の有名人であるAltman教授と、リーマンブラザーズの倒産を担当した裁判官であるJames Peckが担当する半期の授業です。Zスコアについてはあくまでさらっと扱うためファイナンスをゴリゴリやる感じではなく、どちらかというと授業を担当する2人の経験談、法律や裁判関連のインサイト(誰が裁判官になるかが凄く大事であることなど)から学ぶことが多い授業とのことでした。法律用語がわからないと授業中、チンプンカンプンになるそうなので要注意です。授業中にはRestrucrturing専門のコンサルタントや某PEで働くRestrucrturingの専門家がゲストスピーカーとして呼ばれたそうです。グループプロジェクトでは実際にBankruptcyのケースについて分析、考察を行うのですが、実際に当時の裁判資料を見る貴重な機会を得られたそうです。まとめますと、投資銀行、PE、もしくは企業再生を行うコンサルタントなどを目指す場合にお勧めだそうです。ちなみに今学期がAltman教授の担当する最後の学期であるとの噂があることを追記しておきます。

Mergers and Acquisitions(選択科目・1.5単位)

Damodaran教授のValuationに近い授業で、M&Aの定義に始まり、M&Aをどの資本(株?現金?)で行うか、株と現金をどのような交換比率に設定するか、買収提案に対してどう防衛するか、M&Aがどのように株価に影響を与えるかなど、よりM&Aに特化した内容を取り扱う半期の授業です。授業は講義ベースとはいえなかなかinteractiveなもので、最終的にグループワークと期末試験で評価されるそうです。

Financial Information Systems(選択科目・3単位)

金融業界のIT関連についてカバーする授業です。金融業界についての概論から始まり、取引(ATMからHigh Frequencÿ取引まで)、規制、アルゴリズム、また規制が変わることで生じる金融業界のイノベーションなどについて、ITの専門家からの視点で取り扱っているそうです。元々授業を担当するBernard Donefer教授は金融業界で長年ITを専門にしていた方なので、金融業界全体、特にITやオペレーション関して深い見識があり、業界に関する話を聞くだけでも勉強になるそうです。授業は夜間開講でInteractive、予習と宿題はなくテスト結果で評価されるそうです。

Business Driver(選択科目・3単位)

日本人には内容のわかりにくいコース名ですが、アメリカ人にとってもそれは同じことのようです(笑)。当校のアカウンティングの第一人者、Dan Gode教授が担当するクラスで、企業の財務・経営分析を行い、企業の成長やリスクの要因(Driver)を探るという趣旨のコースです。毎週ヘルスケア、エネルギーなど特定の業界の有名企業をアサインされ、各チームでレポートを作成して発表、先生からの質問を受け、議論するという、ビジネススクールでも珍しいスタイルで授業が進みます。分析した会社はランダムでアサイン、例としてIntel, Under Armor, First Solar(ソーラーパネルの会社)など、実に多岐にわたる企業を分析されたそうです。レポートは教授から与えられた分析用のエクセルシートと、シートから得られた結果への考察をまとめたワードファイルの2点セットです。最後は自ら選んだ企業についてプレゼンを行います。レポートとプレゼンで評価されるため手ごたえは不明とのことですが(笑)、他のどの授業よりも楽しく、学びあるコースだったということは実感をもって言えるとのコメントをもらいました。

Business Law for Managers(選択科目・3単位)

ビジネスに関連する米国の法律を広くカバーする授業です。裁判所の概要から始まり、契約、会社法、法務、IP、コーポレートガバナンスについて取り扱ったそうです。特徴としては裁判のケースをベースに授業を展開するためInteractiveであること、予習の読み物はえげつなく多いこと(そのため授業のカバー範囲が広いというメリットもある)、教授の個性が強いことだそうです。授業を担当するRichard Hendler教授は生徒に愛のある熱心な教育者で、特に夜間授業の場合、毎回生徒のためにテークアウトで夕食を振舞うそうです。印象に残ったのは最初に扱ったペプシが展開したペプシポイントのケース(700万ポイントを実際に貯めてジェット機の交換を申請した方がポイント交換して応じてもらえずに起こした裁判)でして、裁判官役、原告役、被告役などにわかれ模擬裁判を授業中にやってみたそうです。

Globalization, Open Innovation, and Crowdsourcing: New Ways of Organizing(選択科目・3単位)

グローバリーションによって広がりを見せているオープンイノベーション、クラウドソーシングに関する授業です。グローバライゼーションの話からオープンイノベーションやクラウドソーシングのケース(成功例と失敗例)を取り扱ったほか、グループワークでは実際にアップワークというサイトを経由してフリーランサーにパワーポイントの制作をアウトソーシングし、当初意図した結果になったのか、どのように指示すべきだったのかなどをまとめます。オープンイノベーションのケースで例に出ていたのは、アウトソーシングをかつて一切行っていなかったLEGOが販売したおもちゃのプログラムをファンが書き換えた結果、これまで社内ではなし得なかったイノベーションを成し得ることができた、という話でした(それ以来LEGOがオープンイノベーションを積極的に取り入れたのは有名な話のようです)。授業中には某クラウドソーシングの事業会社、某金融機関(クラウドソーシングのプロジェクトを数百件抱えている側)、某スタートアップからゲストスピーカーが来場したそうです。まとめますと、限られたキャッシュ、リソースのなかでビジネスを立ち上げる必要のある、Entrepreneurship系に興味のある人にとっては、取る価値の大きい授業だという印象を受けました。

Digital Media Innovation(選択科目・3単位)

メディア企業CriteoPresidentGreg Colemanが担当する、デジタルマーケティングやデジタルメディアのスタートアップについて学ぶ授業です。授業ではほぼ毎回、ビジネス(スタートアップ)側、VC側のゲストスピーカーがそれぞれ1名ずつ呼ばれ、ビジネスを実際に行う側、ビジネスに投資する側としてそれぞれ講演を行う形で進められます。印象的なスピーカーとして、Fousquare の創業者兼CEOが挙げられておりました。グループプロジェクトではデジタルメディアのスタートアップ案をVCにプレゼンする内容とのことです。こちらの授業はまさにニューヨークの地の利を活かしており、メディア系、Entrepreneurship系に興味のある人にとって有意義な授業である印象を受けました。

写真はJewishのHanukkkaのあった週末のもので、通りにキャンドルのような装飾をかざした車がパレード(?)しておりました。Jewishの多いニューヨークならではのイベントなのもしれません。

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