2015年11月25日水曜日

秋学期授業(2nd Fall)

更新がしばらく途絶えておりましたが、今学期取っている授業を共有致します。

Valuation(選択科目・3単位)

当校随一の名物教授、Damodaran教授によるValuationの授業では、外から見た企業の評価手法(DCFMultiplesなど)を平易な語り口調で、豊富なinsightを交えながら学ぶことができます。小テストやグループワークがあるので負荷は決して軽くないですが、この授業を取るためにSternに来る同級生がいるほど評価の高い授業です。グループワークでは、グループごとにメンバーが選択した企業について複数の手法により評価し、どの手法から得た評価結果を採用するかについてまとめることになっております。ちなみに当校では1年目の春学期にCorporate Finance2年目の秋学期にValuationの授業を取るルートが一般的です。

Managing Growing Companies(選択科目・3単位)

スタートアップの段階を超えた企業を今後どのように成長させるべきか、成功例、失敗例のケースをベースにディスカッションする授業です。MBAの各基礎科目の知識をベースに、企業の長所、短所、機会、リスクをケースごとに分析するため、新たなフレームワークを体系的に学ぶのには適しておりませんが、取り扱うケース、教授のインサイトなど、何かと今後役に立つ気づきの多い授業になっております。Okun教授は当校の看板教授の一人で、主に投資家の立場から企業の経営に関わってきた経歴を持っております。

Foundation of Entrepreneurship(選択科目・3単位)

同じくOkun教授の担当する授業で、こちらではスタートアップの企業をどのように成長させるか、ケースメソッドで学んでいきます。スタートアップの段階ということもあり、スタートアップの成功例、失敗例だけでなく、資金調達の方法、VC側の話(どのようなスタートアップに投資すべきか)などについても取り扱います。こちらの授業についても新たなフレームワークを体系的に学ぶというよりは、各ケースで気づきを得られる感じです。ちょうど現在スタートアップのビジネスコンペに出場しておりますため、授業中の気づきをビジネスプラン作成の際に役立てたのはよかったです。

Brand Strategy(選択科目・3単位)

マーケティングのうち、ブランディングに特化した授業です。当校の看板教授のGalloway教授が担当する本授業では、ブランドという資産をどのように評価し、今後高めていくべきかについて、主にディスカッション形式で学ぶことができます。評価の半分を占める最終プロジェクトでは、グループごとに選んだブランドについて、ブランド力の評価、今後の改善策をまとめます。予選を勝ち抜くことができた組のみ、最後の授業で提言内容をプレゼンテーションすることができます(通称「Battle of Brand」)。教授がクラスの雰囲気をうまく作り出しているせいか、もしくは通常のMBA生とPart Time MBA生がほどよく混ざっているせいか、皆ガチでプロジェクトに取り組んでおり、いい意味でCompetitiveでした。ちなみに僕のチームは21グループ中4位、惜しくも入賞を逃しました。

教授はUC Berkeley HassMBAプログラム在学中、当時Brandingの第一人者であるアッカ―教授の薫陶を受けたことをきっかけにブランディングの道を歩んでおり、卒業してから合計8社のスタートアップに関わっております。現在はL2というブランドに関するビジネスインテリジェンスのサービスを提供している会社の経営に関与する傍ら、10年以上前よりマーケティングの教授を兼務しております。本授業はアッカー教授の教えをベースにしております。

当授業で特徴的なことが何点かございます。まず、授業中の発言、週ごとのソーシャルメディアでの影響度(Kloutというサイトを利用して影響度を数値化する)、小テストなどの点数を合算し、1位から最下位まで受講生をランク付けし、上位と下位10名ずつを定期的に発表することが挙げられます。最近ソーシャルメディアでくだらない投稿が増えていたのはこの影響です。次に、教授が授業(アイランドと教授は例える)で繰り広げる歯に衣を着せぬ発言が挙げられます。彼に言わせると、人間は理論ではなく感情や本能により左右されるものであり、マーケティングに関しても感情の影響が最後に大きくものを言うことを、時に辛口に、時にタブーを用いて説明します。最後に、教授の経験を元にした講義の面白さが挙げられます。ロゴを扱う回では、これまで教授が立ち上げた全会社のロゴを一つ一つ検証し、何が成功し、何がうまくいかなかったのかについて、彼のスタートアップの履歴やTake Awayを交えて説明しておりましたが、自ら起業した体験談そのもの、また本人が当時どのような意図でロゴを制作したのかを伺うことができました。

普段授業紹介でここまで長く書かないのでバレたかもしれませんが、個人的にはここまでの全授業で最もタメになる、かつ内容も面白いものでした。僕はメーカー出身だったこともあり、学んだ全ての事が目から鱗でした。

今回触れられなかった冬休み中の授業については追って記事をアップしようと思います。

写真ですが、主にセントラルパークでの紅葉を数種間前に撮ったものです。



2015年10月31日土曜日

MBA2年目がそこまで暇ではない件

MBA入学前、当時の在校生、卒業生からMBA2年目は楽になるという話を伺っておりました。実際2年目になってみた実感ですが、本人次第でMBA2年目の忙しさのレバーを上げたり下げたりできる、という言い方の方が僕にはしっくりきます。

例えば、夏休みに立ち上げたビジネスを続けている同級生、パートタイムインターンと学生生活を両立させている同級生、転職活動を続けている同級生など、MBA2年目も忙しめな同級生もおります。一方でMBA2年目を一種のモラトリアム期間にしてしまっている同級生もいます。MBAでの目標であるキャリアチェンジをサマーインターンで達成してしまったため、授業やクラブ活動のみ頑張り、週末は全米各地、もしくはヨーロッパに出掛けている友人たちがその一例です。

僕の場合はぼちぼちでしょうか。授業関連の負荷は下がっておりますが、キャリア関連、(負荷は小さいですが)クラブ活動、当校のスタートアップコンペ(200K Entrepreneurship Competition)の選考準備など、授業以外の負荷の比率が上がっております。とはいえ、山場を重ねないよう注意しながらスケジュールを組んでおりますし、睡眠時間はそれなりに確保できておりますし、ランニングやジムも継続しておりますし、何よりこうしてフリータイムを見つけてブログを更新しておりますし、MBA1年目秋学期のときの嵐のような感覚はありません。

ちなみに授業の次に負荷が大きいのがスタートアップコンペの準備です。ビジネスプランの準備そのものだけでなく、必ず参加しなければBoot Camp(ビジネスプランを書くための講習会のようなもの)の負荷が軽くないのです。これまでBoot Campは日曜日の9-16時、合計3回開催されました。ビジネスプラン作成についてはド素人なので学びは大きいのですが、当校の授業に置き換えると1.5単位分(通期の授業の半分)に相当する時間をBoot Campに投資しているわけです。

春学期もパートタイムインターンなどに関わって、最後まで最低限忙しくいられたらと思います。

写真はキャンパスから1kmの距離にあるニューヨーク名物のデリ、Katz's Delicatessenです。名物のパストラミサンドウィッチはチップ含めて$20以上と安くはないですが、肉のボリュームは申し分なく、肉の柔らかさと肉汁を楽しめる逸品です。しかもお店の雰囲気が大衆食堂のようにごちゃごちゃしているのも個人的にはプラスでした。

2015年10月30日金曜日

ハロウィーン

ハロウィーンの季節がやって参りました。1年前はハロウィーン前に包丁で指を切り、病院で指を縫ったため、ハロウィーンどころではありませんでした(笑)。今回、ようやく本意気で楽しむことができそうです。

毎週木曜日夜に開催される飲み会(Beer Blast)についても、昨晩はハロウィーン仕様になっておりました。就活や授業のある学生もいたため、仮装をしている学生の比率は半分以下でしたが、それでも雰囲気は味わえました。僕が20年前にニューヨークに暮らしていた頃、人気の衣装は怪物、お化け、海賊だったイメージがありましたが、こちらではキャラクターの仮装が人気でした。Beer Blastでは戦隊レンジャーや国立公園のレンジャーに扮した友人グループ、別会場でスーパーマリオのメンバーの仮装をしたグループもおりました。そういう意味では今の日本のハロウィーンとあまり変わらないのかもしれません。ただ、同級生のなかには仮装道具を自作(!)したメンバーもおりましたので、こちらの方ではより気合いが入っている(もしくは楽しもうとしている)のかもしれません。
 
明日は友人カップル開催のハロウィーンパーティーに顔を出す予定なので、日本酒を持参して適度に場を盛り上げようと思います。久々の短い記事でした。
 
写真ですが、昨晩いいものが撮れなかったので、せめて紅葉が進んできたセントラルパークを使います(結局微妙な写真しか撮れませんでした)。本日セントラルパークをランニングで一周(10km)してきたのですが、鮮やかな色彩に囲まれたなかでのランニングは格別でした。 

先手必勝

おそらく人によって十人十色かと思いますが、MBA期間中のスケジュール管理(特に授業関連)について僕なりに心掛けていることについて、春学期に書きそびれたので改めてまとめます。特にグループワークの場合、(大げさですが)先手必勝でスケジュール管理の主導権を握り、自分のペースにもっていくことを心掛けております。

少なくともFull Time MBAの同級生に関して言うと、計画的に授業のグループワークやプロジェクトを進めているケースがあまりございませんでした。(場当たり的と言っては言い方が悪いですが)課題提出直前まで作業をせず、直前に課題を複数抱えてヒーヒー言っている同級生を多く見ました。MBA期間中の時間を最大限活用したい僕にとって、場当たり的なやり方が効率的とは思えませんでしたので、全授業にグループワークが絡んでいた春学期にちょっとした実験を行いました。僕が取った全授業のグループワークのスケジュール管理について主導権を握ってみたのです。

まず、学期が始まるまでに履修した授業のレジュメを全てチェックし、どの時期にどの宿題の期限があるかを全て手帳にメモしました。全授業の課題を初めにリストアップしてしまうことで、学期中のどの時期に山場を迎えるか、スケジュールの全体感が掴めます。そしてここからが重要ですが、授業の課題の山場が重なりそうな場合、より話のわかるグループに対して状況を説明し、早めに課題を終わらせてしまうよう、かなり早いうちから根回しを始めることにしたのです。特に同級生の80%以上が履修しているCorporate Financeで重たい授業課題がある5月上旬は山場が重なるのが見えておりましたので、同時期に課題のある他の2つの授業のグループに対して状況を説明し、作業時期を前倒しできないか根回しを行いました。その結果、本来5月初旬が提出期限のグループプロジェクト3つのうち、1つを4月半ば、1つを4月中に提出させることができました。結局のところ5月初旬は少し苦しみましたが、それでも山場が重なるよりはだいぶ楽だったと思います。

調整がうまくいった理由として、課題が事前に終わらせられる内容であったこと、加えて事前にグループ内でスケジュール管理役として認められたことが効いたと思います。学期中も小さな課題の期限について同級生にリマインダーを送るなど、普段からスケジュール管理を自分で主導することを意識していたこともあり、僕の提案に信頼をもってくれたのだと思います。また、かつて生産計画を仕事にしていた僕にとってスケジュール管理(納期を守ること)は職業病みたいな部分もありました。

このようなスケジュール管理のやり方は決して多数派ではない気はしております。こんなやり方もあるという一例だと思っていただければと思います。

2015年10月26日月曜日

価値観

受験生の頃、MBAに行ってよかったことの一つとして、価値観が広がったという点を挙げた先輩方がいらっしゃいました。実際に2年目の秋学期に差し掛かっておりますが、たしかにMBAに行く前に比べてはるかに範囲が広がった(伸ばされた)実感があります。(アメリカ中心の学校とはいえ)多様なバックグラウンドを持つ、世界各国から集まる同級生、授業を含めたMBAプログラム、先日ご紹介した講演会など、様々な場面で日本に留まれたら得られない刺激を受けることができました。

学生クラブ主催のイベントでもそのような刺激を受けることができます。当校の主要クラブは毎年、Club主催のConferenceを開催し、卒業生などの大物ゲストをスピーカーとして迎えておりますし、それこそ単体でも色々と面白いイベントが日々開催されております。

僕が先週参加した学生クラブ主催のイベントを例に挙げると、Activist Investorsがヒーローなのか悪なのについて看板教授のDamodaran教授とMurphy教授が議論したイベント、キューバ概論(Intorduction)についてBrennan教授が講演したイベント、アフリカ開発銀行の特使がアフリカでの女性の社会進出の現状と課題について講演したイベントなどが開催されました。僕の場合、少しでもピンときたイベントにはなるべく時間をつくって顔を出すようにしているのですが、特になんとなく参加した最後のイベントでは、アジアよりアフリカの方が女性の社会進出が進んでいる現状を知ることができました。

このようなイベントに参加する価値はざっくり2点あると思っております。一つ目は純粋に知識の引き出しの数を増やすこと、二つ目は特にピンときたことを追って深堀りする、いいきっかけになることです。引き出しを増やすことで得られる横の広がり、新たな引き出しをきっかけに深まる縦の広がり、これらを通じて受け入れられる物事の幅が広がり、人間的に成熟することに繋がると思います。

何でこのようなことを書いているかというと、価値観が広がるような機会をもらってばかりで満足しているのではなく、少しでも返すことを意識しなければならないなと、ふと思ったからです。そういう意味では春休みに開催したJapan Trekでは間違いなく同級生に取って価値観の広がるEye Openingな体験を提供できたと思っておりますが、卒業まで時間があるので、価値観の広がる、そんな切り口でイベントを開催するのもありだと考えております。

写真は黄昏の国連本部前です。